三崎亜記を読もう

この記事は、KNCT ProLab Advent Calendar 2020 1日目の記事です

三崎亜記、という作家をご存知ですか。 ご存知ならばこの記事は読まなくて大丈夫です。 ちょっと変わった世界が好みの方、常識が少しずれた世界が好みの方のために書きました。 三崎亜記さんの作品一つでも読んでいただけたら嬉しいです

はじめに

三崎亜記さんを進めようと思った理由として、それはもちろん小説が面白いからというのもあるんですが、最近久留米在住であるということを知ったんですね。

ということで久留米に縁がある作家、という点でも勧められるのかな? と思いました。 もちろん僕みたいに全く久留米に愛着がない人でも大丈夫です。作品に久留米関係ないし。

ちなみにこの記事を書いたのは11/29、ガッツリテスト期間中です。テスト爆死していたら来週の僕を慰めてあげてください

三崎亜記さんの作品の特徴

作品の特徴としてまず挙げられるのが、普段の常識が通じない、不条理な世界を扱う作品が多いということです 常識が通じないとはこれ如何に、と思った方もおられるかもしれません。

例を挙げると、廃墟を建てる作品や、二階に扉(地続きではないにもかかわらず)を作ったり、バスがジャックされたり鼓笛隊が台風のような存在になっていたり、等様々です

普通生活しててそんなことよく思いつくなあみたいなものが題材になっている事が多いです。しかし、全く現実味がないわけではなく、少しずれた世界というぐらいには収まっているのがポイントです。

三崎亜記さんの特徴としてこの不条理な世界を扱っている作品がほとんどということが挙げられるでしょう。 シュールかといえばシュールです。暗い作品もままあります。

ちなみに作品の設定が裏でつながっていることも多く、新しい作品を読むとそういやこんな設定ある作品あったなあと感じることも多いです。

もちろんメビウス・ファクトリーみたいに設定あんまりつながってなさそうな作品もあります

作品についていくつかご紹介

コロヨシ!!

僕が最初に読んだ作品は「コロヨシ!!」という作品なんですが、これは掃除がスポーツとしても存在する世界で、掃除部として活動する高校生のお話です。

この時点でまあそこそこ変わった作品であるというのがわかりますね。

塵芥とよばれるバドミントンのシャトルを大量に使って箒で巻き上げ、演舞する。掃除はそんなスポーツとしても扱われています。もちろん部屋をきれいにすることも掃除と呼ばれているらしく、名前被りって大変だなあみたいな気持ちもなくはないです。

この作品は設定がかなり作り込まれていて、居留地や西域といった地域に関する設定や、ピュア・トラッド(酒や合法調薬など、薬物を提供する店)、掃除そのもののルーツやルールなど、様々な情報が伏線になったりならなかったりしています。

変わった部活動も掃除部だけでなく、召喚部や肩車スポーツ部、飛び剣部など様々な部活動が活動している描写もありとても面白いです。

三崎亜記さんの作品の中では唯一とも言っていいくらい青春してる作品なので、青春に飢えているかたには特におすすめです。 そういうわけではない人にも、ストーリーが面白く、とっつきやすい方の作品なのでおすすめです。

www.kadokawa.co.jp

余談ですが、僕はこのリンクを張って初めて文庫版の表紙を見たんですが可愛らしいと思いました。ハードカバーの方はちょっといにしえみたいな表紙だったので印象が違ってびっくりしたというのもあります。

ところで、この記事を読む人が普段どのくらい本を読むかどうかわからないのですが、僕は一般的に長編が好きなタイプのオタクなので長編を先に紹介してしまいました。

しかし、普通に考えてとっつきやすくて読み始めやすいのは短編小説です(しかし読みやすいかは別)。三崎亜記さんはめちゃめちゃ短編多いので、いくつか紹介したいと思います。

廃墟建築士

紹介したいのは「廃墟建築士」という本です。この本にはいくつかの短編が集まっていて、「7階闘争」、「廃墟建築士」、「図書館」、「蔵守」の四作が収録されています。それぞれ特に関係があるわけではなく、全く別の話です

www.shueisha.co.jp

7階闘争

「7階闘争」は、全国の7階で事件事故が多発していることから、すべてのマンション、ビルから7階を取り除こうとする自治体に対し反対運動を行う主人公の話です。

社会風刺じみた設定といえばそうなんですが、ストーリーとしてきちんとまとまっていて、7階を無くすということに疑問も持たない自治体が存在するのに対し、7階を無くすということの意味がわからない、ある意味読んでいる僕たちのような存在の主人公が活動していくストーリーはとても面白いです。

三崎亜記さんは不条理な状態にそれを理解できない主人公が巻き込まれる、といった流れの作品は多々あるので(となり町戦争とか、橋とか)そういうストーリーが好きな方は色々買って読みましょう

廃墟建築士

「廃墟建築士」は、廃墟に対して需要があるので廃墟を建築する職業が生まれてしまった世界の話です。もちろん皆さんは廃墟を見たら綺麗だなあとか考えるはずなので、このシチュエーションは比較的わかりやすく、共感できるものがありますね。廃墟に対する考え方の違いから色々起こったりするのは現実のオタクを見ているようで面白いです

図書館

「図書館」は、夜中の図書館では実は本がパタパタ飛んでいる?! という変わった設定に色々理由をつけた作品です 飛んでいる本という存在は危ないため、主人公はそれを管理する仕事についています。ナイト・ミュージアムという映画がありますが、あれをイメージすると近いですね。野生を取り戻した本を調教するというパワーワードな設定が飛び出します。

蔵守

「蔵守」いつか誰かが襲いに来るという蔵を守る仕事についている主人公の話です。ちなみに蔵にはなにか入っているというわけではないです。空の蔵を修繕し、いつか来るであろう略奪者から蔵を生涯守る、そんな仕事についている主人公にはどこからか弟子が来て、弟子を教育することになります。弟子のセリフから、どこかで一斉教育を受けたようなのですが、描写はないのでよくわからない。 この本に載っている小説の中で一番わからない作品ですね。

この本の特徴で、結構仕事を扱っている物が多いということですね。変わった世界の変わった仕事についている主人公、とても見ていて面白いので読みましょう。

オワオワリ

小説をよめ!!!!!!! といったところで読まないやつは読まないので、読みたい方は読みましょうといった感じです。 あと部活で僕に好きな小説の話振ってくれてもいいんですよ。あんまり他人の好きな小説知らないから普通に面白いと思います 三崎亜記は最近の作家ですし小説が手に入れやすいです。資金のある方は定価で、ないかたは最寄りの図書館で手に入れましょう。 ちなみにここでは取り上げませんでしたが、「失われた街」、「刻まれない明日」、「海に沈んだ街」の3つの連作集はとても面白いです。人が町ごと消えてしまう作品です。興味のある方は読んでみましょう